金融・保険科学の教育では、社会・制度的側面と数理・技術的側面という2つの側面をバランスよく教育する必要があります。金融・保険・年金に関するシステム・商品の設計・開発を行うには高度な数理・技術的素養が必要となる一方、同時に、複雑化した社会における、それらの経済的な意味・役割を正しく理解できることが必要とされるからです。逆に、経済的な意味・役割を正しく理解していても、設計・開発に必要とされる高度な数学的理論を正しく理解していなければ、その運用を誤ってしまったり、適切な分析・開発に至らないということが起こりえますので、十分な数理・技術的素養をも同時に身に付けた人材を養成する必要があります。金融・保険教育研究センター(CSFI)の特色は、社会的急務となっているこのような人材育成のための新たな文理融合型教育プログラムの開発にあります。
また、CSFIの大きな特色として、金融経済学、金融工学、数理ファイナンスに加えて保険数学との融合を視野に入れている点があります。大阪大学では、確率論・確率解析・統計学と金融経済学分野の教員の層が厚く、1999年以来研究者ベースでFTA(Finance Theory and Applications)という部局の枠を超えたグループを立ち上げ、連携して教育研究を行ってきた実績があります。その実績を踏まえ、理学・基礎工学・情報科学・経済学にまたがった総合的な教育体制を組み、新たな教育システムを構築して、現行カリキュラムとは異なった新たな文理融合型教育プログラムと、そこで使用される教材を開発しています。また、対象とする分野が金融実務界とも密接に関わっておりますので、CSFIでは実務家教員も加え、実務的教育も教育プログラムの中に組み込んでいます。