
センター長:大西 匡光
大阪大学 金融・保険教育研究センター (CSFI) は、文部科学省特別教育研究経費(連携融合)に採択された“新領域分野「金融・保険科学」に関する文理融合型教育プログラムの開発”の実施母体として、平成18年(2006年)4月に発足しました。極めて高度化・複雑化した金融・経済システムにおいて求められる、高度金融・保険人材、すなわち金融・保険に関わる諸分野に研究上、あるいは実務上で携わるスペシャリストを育成することを使命として、基礎工学研究科、経済学研究科、理学研究科、情報科学研究科の4研究科を学内設立母体とし、民間の、あるいは公的な、多くの連携協力金融機関による様々な形でのご支援のもとで、文理融合および社学連携という二重の意味での連携融合型教育プログラムを提供する、国内はもとより、国外にも類を見ない新しい教育研究組織です。これは、金融・保険に関わる大学院レベルの教育を行う際には、社会・制度的側面と数理・技術的側面との両面をバランスよく教育する必要があり、そのためには、いわゆる文系・理系の両分野の教育研究者と金融・保険の実務に携わる者らの連携協力が欠かせないことを関係者が了解して、初めて実現したものです。
CSFIの教育プログラムは、修士課程レベルに対応する [S] スタンダードプログラムと博士課程レベルに対応する[A] アドバンストプログラムとの、いわば2階建てになっており、さらにそれらは、それぞれ(M) 数理計量ファイナンスコース、(E) 金融経済・工学コース、(I) インシュアランスコースの3種のコースに分かれています。特筆すべき特徴として、金融・保険に関する最新の学術的研究成果がただちに反映されるよう、先導的な教育研究者を講師として迎えての最先端の内容を含む科目から、金融・保険に関する現実の諸問題に取り組むよう、実務家を講師として迎えての極めて実践的な内容の科目まで、多種多様な科目構成が挙げられ、履修者の興味・関心、あるいは目的・目標に適った科目履修が可能となっています。
また、CSFI の教育プログラムは、平成20年度からは、大阪大学において施行されている大学院高度副プログラム制度のもとで、大阪大学大学院のすべての研究科に在籍する大学院生向けに、「高度副プログラム(金融・保険)」として提供され、さらに、平成23年度から開始される大学院副専攻プログラム制度のもとでは、「副専攻プログラム(金融・保険)」として提供されます。一方、金融・保険の知識・スキルの修得・洗練を目差す社会人向けには、「科目等履修生高度プログラム(金融・保険)」としても開放されています。いずれの枠組みにおいても、2段階のレベルのプログラムと3種のコースごとに定められた、一定の要件を満たすように科目履修をすれば、(大学院の課程修了時に合わせて)コース修了認定がなされる制度となっています。
CSFI の主たる使命は、高度金融・保険人材の育成のための教育にありますが、その目的のために、あるいはそれに関連して様々な教育研究活動を行っています。まずは、毎年、大阪中之島において、金融・保険に携わる研究者と実務者とを交えて開催するワークショップ「金融工学・数理計量ファイナンスの諸問題」が挙げられます。これは、当初、金融・保険の現場からの研究・実務上の要請をCSFIの教育に取り入れること、そして、逆に、金融・保険の最先端の学術上の研究成果を現場に活かすことのできる情報を発信すること、等を目的として、企画・開催されましたが、結果的に、関係する分野の研究者と実務者との間の人的交流と研究情報の交換の場を提供する役割を果たし、関係者の間では、通称「中之島ワークショップ」として知られるようになり、様々な意味での高い評価を得るに至っています。つぎに、原則隔年、夏期に京都で開催する国際ワークショップ「Mathematical Finance and Related Issues」では、金融・保険に関連する諸研究分野における国内外の先導的な研究者を、多数、講演者として迎え、国内の関係者に最先端の研究情報を紹介する機会を提供するとともに、国際的な人的交流の促進に、少なからず貢献したものと自負しています。これら以外にも、大阪大学豊中キャンパスにおいて、高い頻度で開催される CSFI 主催の各種セミナーシリーズは、上述の国内・国際ワークショップと同様の役割を果たしています。また、金融・保険に関連する諸分野における国内外の研究者、あるいは実務家を講師として迎えてのミニレクチャーシリーズは、正規の科目群ではカバーできない最先端の研究上の,あるいは最近の実務上のトピックスを扱い、CSFIが提供する正規の教育プログラムを補完する目的で提供されています。
以上のように、金融・保険教育研究センターは、高度金融・保険人材の育成に資する教育プログラムの開発・設計と実施・運営、そしてそれに関連する諸活動に取り組む、国内外に類を見ない画期的な組織であり、その多様な教育研究活動を通じて、我が国の、延いては世界の金融経済の発展と安定化に貢献したいと願っています。そうした使命の遂行のために、多くの方々、組織、機関からの御理解と様々な形でのご支援・ご協力を賜りたく、お願い申し上げます。
平成23年3月
大阪大学 金融・保険教育研究センター長
大西 匡光